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図2 国別の合計特殊出生率(デンマーク、フランス、西ドイツ、イタリア、日本、スウェーデン):1960−1996年

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出所:Hoem&Hoem 1996 p.22

 

カップル解消)が比較的高い(出生率を低くすると信じられている)スウェーデンの出生率動向は、出生率をめぐるさまざまな理論を粉砕する事実をつくりあげたといえよう。しかしながら、出生率は1990年の2.14をピークにわずか5年のうちに低下をたどり、1996年現在1.6を切り1.57を記録するにいたった(Andersson,1996)。人口統計学者によれば、現在の出生率低下は予測されたものであり、いましばらく続くことが推測される。
このようなスウェーデンの出生率の動向を説明するには、スウェーデン福祉国家の発展過程、とくに社会政策・家族政策の発展との関連づけが必要不可欠となってくる。なぜ人が子どもを生み、生まないのかを社会学的に分析することは容易ではない。個人的、あるいは社会的要因がさまざまなレベルでかかわりあうからである。したがって、この報告書はさまざまな要因の因果関係を分析するものではなく、スウェーデン福祉国家の社会政策、家族政策の目的と発展内容、家族形成パターンや家族形態の多様化の体系的記述を踏まえたうえで、社会システムの変遷に出生率の動向を関連づけ、考察するものである。基本的な作業に焦点をおいたのは、社会政

 

 

 

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